死海写本について見ると、善悪二元論や終末論を持つのは言うまでもないが、旧約聖書冒頭の「神は人を作られた、男と女に作られた」を挿入したのはクムラン宗団らしいこと、一夫一婦制を重視するのにダビデにのみ複数の妻を持つのを許すこと、ヘロデ大王がエッセネ派を評価し尊敬すること、精霊を重視することなど、グノーシス側の文献ではないかと思われる点が多い。
ダビデの末裔である王的人物とアロンの末裔である祭司の、二人のメシアを待つというが、このうち祭司が上位になり王を下位に置くのは、インドでバラモンが最上位カーストでありクシャトリヤがその下であるのと同じである。また両者を兼ねた祭祀王つまりシャーマンキングがメルキゼデクだが、新約聖書にイエスがメルキゼデクに比せられる記述があり(ヘブライ人への手紙4.14-5.10)、イエスもまた祭祀王の役割を担っている?ただ聖書でイエスは「ダビデの枝」とは呼ばれないという。
日本の宮中祭祀で天皇が祭司になり神に祈りを捧げるのは祭祀王であり、大地に男が立って空の太陽女神(天照大神)に祈りを捧げるのは、普通の太陽信仰つまり「大地に巫女が立ち空の男性太陽神に祈りを捧げる」のと逆である。男性天皇が大地だからアダムで、これがメルキゼデク同様の祭祀王。そして精霊による「アダムの栄光」を重視するが、天皇の威光の重視、つまり男性支配の原理による統治と同じである。
「偽りの人」は「イーシュ・ハッカーザーブ」「イーシュ・ハ・カザフ」で、カザフはkazabhである。
またアドルフ・ヒトラーについて、エヴァ・ブラウンのことを従来「~という名前だったと言われている」と但し書きされ断言されなかったのは、エヴァの夫であればそれはアダムであるから、彼が新たなアダムになろうとしていたという、エ◯ンゲ◯オンの内容と符合する。